モーションシックネスに関する注意喚起が出ていますが、その一つの原因と考えられる「手ぶれ映像」。これを補正する「スタビライズ」というエフェクトを今回ご紹介します。この映像加工手法は昔からあるのですが、ソフトが高価だったため手の届かないものでした。とこrが、Final Cut Studioの現バージョンから簡単にできるようになりました。Final Cut Proでも可能なのですが、より短時間で処理できるMotionをご紹介します。
まず、1998年の総務省による「放送と視聴覚機能に関する検討会」報告書からモーションシックネスについての記述から。
動揺病(モーションシックネス:Motionsickness)について
1) 動揺病はめまいの一種であり、乗り物酔いともいわれ、乗り物による内耳(迷路)への異常な加速度刺激の繰り返しにより、一時的な冷や汗、吐き気、生唾等の自律神経機能障害を起こして生じる体の病的状態である。胃腸の不調、睡眠不足、過労等があると起こりやすい。2) 臨場感あふれる映像(仮想の視覚の動き刺激)に対して、動きの視覚感覚が生じ、これと前庭機能(内耳の平衡器官)や深部知覚(四肢や頚からの情報)とが矛盾することで、肉体的には固定している自分が強制的に動かされているという感覚が生じ、動揺病に似た症状が生じる。また、このような体性感覚入力以外にも、情緒的、心理的、身体的諸要因等が発症因子として関与するといわれている。その症状はさまざまで、眼精疲労、頭痛、顔面蒼白、発汗、口内乾燥、胃部膨満感、意識混濁、方向感覚障害、めまい、嘔吐等である。3) 年齢としては、2歳以下は動揺病を受けにくく、3~12歳が最も受けやすく、12~20歳で減少し、50歳以上では稀になるという報告がある(Reason 1967,Reason and Brand 1975,Biocca 1992)。4) 広い視野で動的視覚刺激(単純なパターンが多い)を被験者に提示する実験的研究によると、次のような指摘がなされている。
・ 動的映像に臨場感が増す(3次元映像等)ほど動揺病に至る自律神経の不調を生じやすい(矢野 1991)。
・ 動的映像に臨場感が増すほど意識外の誘導性身体運動を誘発し、それが動揺病を発症させる(清水他 1991)。
この報告書は平成9年のいわゆる「ポケモン点滅問題」を契機に作成されたもので、この中にはモーションシックネスだけでなく、3D映像に関しても、医学的立場からの「映像が人間に与える影響」をまとめています。少し古いものですが映像制作にあたる人間として、一読して損はありません。全文はこちら。
モーションシックネスは、ハーディング映像とは異なり、明確な数値を伴った定義はないようです。ただ、映像によって平衡感覚が誤作動を起こすことが大きな原因の一つであることは間違いないようです。映像を視覚化する脳では斜めになっているのに、三半規管では水平になっていることにより、脳での処理に障害が発生してしまいます。
私たちが特に注意すべき映像は、例えば水平がずれている映像、揺れることにより水平感覚がとれなくなる映像などが考えられます。
水平がずれている映像であれば、少し拡大し映像を回転させることで水平に修正が可能です。今回は、手ぶれ映像の補正をしてみます。
「スタビライズ」というエフェクトは、手ぶれ補正と同じような原理で映像を安定化させるものです。まず、Final Cut Proで補正したい映像を取り込みます。取り込んだQuickTimeファイルをMotionで読み込み、「ビヘイビア」から「モーショントラッキング>スタビライズ」を選択し、エフェクトをかけます。

次に処理する映像を「分析」します。この処理には時間がかかります。目安として1フレーム=0.5~1秒です。分析終了後、パラメーターを設定します。Motionは再生しながらパラメーター変更が可能ですので、対象映像がどのようにぶれているかを見ながら調整を行います。

「方法」はスムーズを選択、「枠線」はズームを選択します。再生しながら、「調整」で有効パラメーターを選択し、スライドバーを動かしながら補正の具合を調整します。映像の外枠に薄い線がありますが、これがオリジナル映像の大きさです。前後の映像との共通部分を上下左右、回転させながら抽出し安定化させます。


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