動画は連続する静止画です。ということは、1枚目の静止画、2枚目の静止画、3枚目と数えることができます。その数え方を時刻になぞらえて表したのがタイムコードです。単純に「TC」(ティーシー)と省略することもあります。時刻なので00時00分00秒から始まり、24時間経過するとまた00時00分00秒に戻ります。タイムコードには日付の概念がないので、23時59分59秒の次は24時00分00秒にはならず、00時00分00秒に戻ります。さらに1秒間に何枚も静止画があるので秒より短い時間の単位「フレーム」があります。1秒30フレームの場合、00時00分00秒00フレームから始まり、23時59分59秒29フレームが最後になります。表示は「00:00:00:00」や「00H00M00S00F」となります。

タイムコードのラン設定 TC RUN (カウントアップ設定)
タイムコードは、動画ファイルやテープに映像や音声ととも自動的に記録されます。タイムコードが進むことを「TCが走る」と言いますが、走り方には「録画中に走る」と「録画に関係なくずっと走る」の2通りあります。
REC RUN (レックラン)
録画を開始と同時にタイムコードも進む走り方を「レックラン」と言います。撮影を開始した最初の静止画が「00:00:00:00」です。ファイルの場合、撮影する度にゼロから始まるタイムコードが発生します。民生用のビデオカメラやスマホのカメラなどはこの設定です。テープでは、はじめに刻んだタイムコードの続きが連続して記録されます。前のカットの最後のタイムコードの続きが録画したカット最初のタイムコードになります。例えば、前のカットの最後のタイムコードが「01:00:30:00」であれば、次のカットの始まりは「01:00:30:01」になります。
FREE RUN (フリーラン)
放送業務用プロ機材やハイコンシュマー向けのビデオカメラ・デジタル一眼レフカメラでは、撮影した時刻をタイムコードとして記録することが可能です。正午ちょうどに撮影開始すれば「12:00:00:00」となり、タイムコードを見れば何時何分に撮影されたか分かるようになります。このタイムコードの刻み方を「フリーラン」と呼びます。録画するしないに関係なく時計のように常に刻まれているのでフリーランです。フリーランであれば複数台のカメラで撮影するときに映像音声を同期させることが容易になります(実際はカメラに共通のTC信号を外部入力し同期させます)。現在のノンリニア編集機では素材の音声波形で同期を取る方法もあります。また、フリーランTCは素材の絶対番地になるので、口頭やメールで情報交換が可能です。電話で「何時何分頃の犬のカットを使用してください」とか、メールで編集データをテキストとして送ったりできます。また、報道では撮影カットの時刻が重要になるためフリーランが多いそうです。現在はレックランの動画ファイルでも撮影時刻はメタ情報として持っているので撮影時間は分かるようになりましたが。
テープで撮影する場合レックランにして、最初にゼロから撮影すればその後何カットか撮影したあとでも合計何分間撮影したのかタイムコードを見ればすぐに分かります。
タイムコードのフォーマット
どう走るか、ピッチ走行にも「ノンドロップ」と「ドロップ」の2通りあります。

ドロップ フレーム タイムコード DF
日本の放送では、1秒=30フレームと一般的に言われますが、実際の30フレームは1秒よりほんの少しだけ長く、正確には1秒=29.97フレームになります。29.97 ≒ 30/1.001で、なぜこんな中途半端な数字なのか詳しいことはよく理解できないのですが、白黒放送とカラー放送の互換性のため、白黒テレビでもカラー放送波を白黒で、カラーテレビでも白黒放送波を白黒で見られるようにするためらしいです。とにかく理屈は難しそうですが、単純に1秒=29.97フレームだと困ったことが起こります。30フレームは1.001秒なので1時間=3600秒で3.6秒=108フレーム多くなります。つまり、1時間番組を放送した最後の4秒弱が放送が溢れてしまいます。そこで定期的にフレームを落として、ドロップして辻褄を合わせるタイムコードのフォーマット「ドロップ フレーム タイムコード」が採用されています。
具体的には、10の倍数を除く毎正分「1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分」と「11分、12分、13分、14分、15分、16分、17分、18分、19分」つまり、「00分、10分、20分、30分、40分、50分」以外のすべての分で、「00フレーム」と「01フレーム」の2フレ落とす(飛ばす)と1時間で108フレーム短くなります。

ドロップフレームを表す「;」のほか、プロ用機材では「:」の代わりに「. 」を用いる機材もあります。下の写真はソニーの放送用機材XDCAMステーションのディスプレイです。「15:11.05:02」はドロップフレームの15時11分05秒02フレームを意味します。ディスプレイの右側に表示されている「59.94 i 」は「29.97 i 」と同じ意味で、フレーム数ではなくフィールド数で表示しています。この表示からもドロップフレームだと分かります。

他にも、「VITC」とか「MPEG」「HD422」「MXF」などなど専門用語満載ですが、これらについては別の機会に説明したいと思います。
ノンドロップ フレーム タイムコード NDF
「ノンドロップフレームタイムコード」はその名の通り、フレームを途中で落とさないタイムコードです。このフォーマットは正確に時間を管理しなくていい場合、例えば、Blu-rayやYouTubeなどに用いることが多いです。また、CGのようにフレーム計算が重要になる映像、CMなどの1分以下の映像にはノンドロップを使用しても問題ありません。省略して「ノンドロ」と呼ぶこともあります。
編集するベースのタイムコード
上記までは主に録画・収録する場合のタイムコードの話でしたが、撮影した素材を編集する場合もタイムコードは重要な役割を果たします。ノンリニア編集では編集したカットを並べた作品そのものを「シークエンス(Avid)」「シーケンス(Adobe/grass valley)」「タイムライン(Blackmagic Design)」「プロジェクト(Apple)」などと呼んでいます。全体の印象としては、事前に編集する映像や音声の箱を作る感じのノンリニアソフトでは「シークエンス」や「シーケンス」と呼び、「プロジェクト」は既成の箱がなく自由に配置するような概念のノンリニアで用いる感じです。「タイムライン」はそれこそ時間に忠実な編集を目指す感じがします。ここでは理解しやすいようシークエンスと呼ぶことにします。
下はアップルのFinal Cut Proで新規のシークエンスを作成する画面です。上から三行目「開始タイムコード」、任意のタイムコードを設定可能です。ただ正時開始が一般的です。編集中のシークエンスの長さ、尺が分かりやすくなります。何時開始かは、放送局によって決められていることが多く、8チャンネルは「08:00:00;00」とか12チャンネルは「12:00:00;00」とか、長尺番組の時は「10:00:00;00」開始にすれば、冒頭から1時間も分かりやすくなります。また、実際の放送開始時刻に設定すれば、この時刻にこの映像を使いたいということにも対応しやすくなります。もし、本当に放送用として納品する場合、放送開始点の前に何が収録されいるかを表示するパターン表示(タイトルや放送日、音声などの情報)を挿入しなければならないため、「09:59:45:00;00」に設定します。詳細は放送局に問い合わせが必要です。もしくは放送局から指定されます。

個人で楽しんだり、放送以外の仕事で編集するシークエンスは、ノンドロップで問題ありません。その辺は適当に設定しても大丈夫です。「00:00:00:00」開始タイムコードで、動きが速いものや高画質を望むなら60p、普通の素材であれば30pで問題ありません。編集ファイルも軽くなるので、PCで再生したりアップロードするのには適しています。

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