横長長方形ピクセル、画素数1440×1080、インターレース方式、ビットレートはDVと同じ約25Mbps、MPEG-2で記録するフォーマットと言えば、HDVです。その登場は2003年、miniDVと同じテープにハイビジョン映像が記録できるという衝撃的なものでした。
1995年のminiDV登場後、各メーカーは民生機のハイビジョンカメラの開発を進めていました。噂ではソニーが「DVCAM-HD」をVX-3000(VX-1000の後継機がVX-2000だったため)として発売するというのが大筋でした。しかし、世界で初めて民生機のハイビジョンカメラを発売したのは日本ビクターでした。2003年3月に突然発売された「GR-HD1」です。

miniDVと同じテープにMPEG-2形式で720Pのハイビジョンを記録する形式で、ビクターのオリジナル規格でした。発売当時、720Pであることや独自規格で汎用性が乏しくなるのではないのかということでヒット商品にはなりませんでした。しかし、このビクターの規格をもとに、同年秋日本ビクターの他、ソニー、キャノン、シャープの計4社が「HDV規格」を策定しました。ちなみにHDVのロゴの著作権は、ソニーとビクターが持っています。
ソニーはビクターから遅れること1年半、2004年秋に「HDR-FX1」を発売。世界で初めて1080iのハイビジョンの民生機カメラです。

現在このHDV規格には、カメラは作らないが編集などのアフターソリューションを支援する企業(規格賛同メーカー)、Avidやアップルなど20社以上にもなります。
一方、松下電器(現パナソニック)は、業務用にはDVCPRO HDと P2カード、民生機にはSDカードという別の道を選択します。
HDVに対応したアップルのノンリニア編集ソフトとしては、
2005年1月「iMovie HD 5.0」、2月には「Final Cut Express HD(3.0)」が発表されます。iMovie HD はMacを買えば標準で付属したソフトだったこともあり、HDVでの海外取材では素材の荒編に、このiMovie HD がよく使われていました。
ちなみに2004年の5月に発売された「Final Cut Pro HD」は、HDという名称が与えられましたが、「DVCPRO HD」に対応したものでHDVに対応したものではありません。2005年6月リリースの「Final Cut Pro 5.0」でHDVに対応します。
Windows OSで動くものとしては、2005年3月にAdobe Premiere Proが1.5.1のアップデートとして、HDV対応プラグインを提供しています。カノープスからは2005年6月にプロ向けとして「EDIUS Pro 3」、7月に一般ユーザー対象に「EDIUS 3 for HDV」を発売しています。
マイクロソフトからOSで無償提供されるものとして、「Movie Marker」がありますが、Windows Vistaになってやっと「Movie Marker HD」となり、HDVに対応しました。
HDVのビットレートはDVとほぼ同じ約25Mbpsです。これは15フレームのGOPによるMPEG-2のおかげですが、編集となると少々問題が発生します。DVフォーマットは前後のフレーム情報に関係しないフレーム内圧縮(イントラフレーム圧縮)、つまりあるフレームとあるフレームは独立していて、他のフレームには影響を与えません。よって、カット編集ならばレンダリングの必要はありません。
ところが、HDVはフレーム間圧縮(インターフレーム圧縮)を採用しているので、前後のフレームが存在しなければ、ひとつのフレームの情報が成り立ちません。高圧縮を実現するMPEGは、単純なカット編集をしようとしてもフレーム単位ではできません。GOP単位でレンダリングが必要になります。
HDVをノンリニア編集する場合、トランスコード(TransCoding)方式とHDVネイティブ(native HDV)方式のふたつの方法があります。iMovie や Final Cut Expressは前者のトランスコード方式で、HDVのMPEGデータを編集がしやすいQuickTimeのApple InterMediate Codecに変換し、編集する方法です。Apple InterMediate Codecは、 YUVが4:2:0の1440×1080 です。このコーデックの欠点は、「MPEG-2 HDV」に比べて、3、4倍のハードディスク容量が必要な点です。1秒あたり約11〜14MBがファイルサイズの目安です。
トランスコード方式はデータの変換時間とハードディスク容量が必要となりますが、編集はインターフレーム圧縮と同じになりますので、ストレスなく作業ができます。
HDVネティブ方式は、文字通りHDVのMPEGデータをそのまま取り込み、ハードウエアのリアルタイムレンダリングのパワーで無理矢理編集する方法です。Final Cut Proは、HDVネイティブ方式とトランスコード方式と両方可能です。編集のしやすさから考えると、トランスコード方式が圧倒的におすすめです。パワーのあるMacであれば、ハードディスクの容量は十分、トランスコードも短時間で処理可能なので。
HDVは多用されることが予想されますので、また詳しくご紹介したいと思います。
ちなみに、HDVはminiDVと同じテープにハイビジョン映像が記録できる優れものですが、MPEGのGOPという原理上、エラー耐性が弱いのが欠点です。テープ上のにほこりが付いてエラーが出る場合、DVは最悪、ほこりのあるテープ上の箇所にだけ、ノイズが入ります。
ところが、HDVはフレーム間圧縮なので、ノイズは1フレームだけではありません。最悪、GOP全体(=15フレーム)にノイズが入ります。


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