「限られたハードディスクに大量の素材を全部入れたい!」という願望は、ノンリニア編集では誰しもが持つものです。20年以上前から始まったノンリニア編集の歴史を振り返っても、この願望との戦いでした。ノンリニア編集はこの課題をハードとソフトの進化、そして編集者の知恵で乗り越え現在に至ります。今回は素材の取込みのまめ知識をご紹介します。
テープを取り込む作業、現在は「キャプチャー」とか「取込み」と呼ばれていますが、テープがアナログ時代は「デジタイズ」と呼んでいました。コンピュータに取り込むことでデジタルデータになるためです。今ではテープもデジタル化されたので死語になりつつありますが、一部のノンリニアでは「デジタイズ」と言葉を使用しています。
アビッド社のメディア・コンポーザーというターンキーシステム(ハードとソフトのセット販売)を使っていた1995年頃。ハードディスク容量が小さくかつ圧縮技術が進んでいなかったため、素材全てを取り込めるのは、ドラマやCM、トーク番組などの使用する素材が限られているものが主流でした。ドキュメンタリーのような大量素材のデジタイズは事実上不可能でした。そこで粗いオフライン画質で全素材を取り込んでしまうオフライン編集が登場しました。オフライン編集と言えば、ベテランの方々はご存知だと思いますが、タイムコードの入ったオフラインテープ(VHSやベータ)で編集し、編集が確定後、ベーカムなどの本番テープでオンライン編集する方法です。この方法と考え方は同じです。
ノンリニア編集では、データ容量の小さい低画質でデジタイズし編集、確定後編集で使用したカットのみを高画質でもう一度デジタイズする方法です。オンラインの高画質への乗り換えは、編集データをもとにバッチデジタイズで再度取り込みを行ないます。ここで重要なのがロール名、どのテープのどのTCを編集でしようしているかを管理することです。デジタイズの時にかならずテープの判別がつくロール名を付けておくことです。
バッチデジタイズは、高画質のOKカットだけをデジタイズする場合も非常に便利です。素材を見ながら必要そうな部分の映像は取り込まずにロール名とインアウトのデータのみを登録し、一気にデジタイズする方法です。全素材を取り込む方法よりも時間がかかりますが、この段階でもう編集が始まっている訳です。長尺インタビューは必要そうな部分だけを取り込めばよいのです。バッジのデータだけを作るアプリケーションもありました。ノートパソコン(当時はパワーブック)とデッキをリモート接続し、TCデータを取り込む仕組みです。出来上がったデータはフロッピーでメディア・コンポーザーに読み込ませます。
現在のFinal Cut Proにもバッチデジタイズ機能はあります。ただし、「D-sub9pin(でーさぶ9ぴん)」というリモート接続が必要です。

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